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出産が終われば母乳が出るのは当たり前だと思っていたのに、なかなか母乳が出なくてあなたは日々四苦八苦していませんか?
周りを見渡せばみんな「ちょっとマッサージすれば出たよ」とか「特に何もしなくても飲ませてたら出たよ」なんていう人ばっかりに思えて、授乳前後の赤ちゃんの体重を測るのがすでに恐怖の時間……。
楽しいはずの母子のふれあいの時間が苦痛の時間になっているなんて、とっても悲しいし、何より赤ちゃんがしっかり母乳を飲めていないのかと思うと落ち込んじゃって…。
でもちょっと待ってください!あなたが授乳前に胸が張ってこないのにはちょっと理由があるかもしれません。
そしてその理由は「母乳が出ない」こととは程遠い理由なのかもしれないのです。
母乳が出ないことには2つのホルモンが関わっている
きっと母乳の出に関して悩んでこのサイトを開いてくださったあなたなら、母乳が出るリズムや仕組みのことについてはすでに勉強済みかもしれませんね。
それでもあえて、今一度「母乳がでるシステム」や「リズム」についてホルモンの面からおさらいをしておきましょう。
母乳が出るようになるために
先ず大前提として、「出産をすれば溢れんばかりに勝手に母乳が出てくる」ということはありません。
確かに、妊娠・出産をすることで女性の体は赤ちゃんを育てるために必要な体へと変化することは事実です。
しかしここで思い出していただきたいのです。
あなたは妊娠してから、色々なことを「赤ちゃんと母体」のために気を付けてきませんでしたか?
例えば妊娠中の喫煙・飲酒は絶対NGですし、喫煙に関しては副流煙もNGということは産科でも母親教室でも口を酸っぱくして教えてもらったはずです。
他にもカフェインを摂り過ぎないようにとか、リラックスを心掛けましょう、適度な運動をしましょう、体重を増やし過ぎないようにしましょうなどなど。
妊娠中は本当に大小様々に注意点がありましたよね。
これらの注意点をどうして守る必要があったのかというと「健康な赤ちゃんの成長を妨げないため」より他にありません。
妊娠だって「赤ちゃんを授かれば何も努力しなくても無事に出産できる」わけではありませんでしたよね。
ママは妊娠がわかってから10か月にわたり日常生活のありとあらゆることに気を付けてきたはずです。
これは妊娠以外のことにも当てはまるんですよね。
そう、母乳を生成することも、妊娠と一緒で、何も努力しなくてもイイなんてものではないのです。
妊娠経過が順調であれば、8ヶ月頃から少しずつ乳頭の掃除をするように指導を受けているでしょうし、産後は身体がまだフワフワする産後1日目から(人によっては激痛の伴う)おっぱいマッサージを受けた人も多いはず。
ただ、母乳の生成は外的な準備だけでなく、妊娠中からの「プロラクチン」というホルモンの働きで乳腺を発達させる事が必要です。
そして母乳を「出す」には産後にオキシトシンというホルモンによって母乳を出すことを促されることが十分になされなければいけないのです。
特に母乳生成に関係するプロラクチンは「睡眠時」に分泌されることが多いホルモンなんですよね。
乳腺を発達させるのに大事な妊娠後期って、実は赤ちゃんの胎動や大きくなったお腹のせいで睡眠が浅くなる時期なんですよね。
そのうえ、仕事を出産ギリギリまでしているとお昼寝もできないので、なかなかプロラクチンが十分に出る機会が現代女性には少ないかもしれません。
こうなるとやはり乳腺の発達もしっかりできなくて、そのまま出産して24時間営業の新生児期になるともっと寝れなくて…ということで、母乳が出にくくなる環境は整ってしまうかもしれません。
そして母乳を「出す」ことに関するオキシトシンは、幸福ホルモンとも言われるホルモンで、リラックスやスキンシップで増えるホルモンなんですね。
赤ちゃんがおっぱいを吸ってくれれば、オキシトシンはたくさん分泌されますが、ここで分泌される以上にママがストレスを感じているとオキシトシンは結局出されなくなって、母乳もちゃんと出なくなることもあります。
このように、母乳をしっかり出すためには、先ず体内のホルモン環境を整えることと、おっぱいマッサージや乳頭の掃除で母乳が出やすい外的環境を整えることが大事なのです。
「差し乳」って言葉を聞いたことはありますか?
母乳は生成されるようになると、最初のうちは2時間から3時間おきに胸が張るようになることも多いです。
特に初産のママは身体が母乳を作るタイミングを上手にリズム化できていないので、俗にいう「授乳のサイクル(新生児だと1~2時間おき、生後3か月以上なら3~4時間おき)」で胸が張るようになるのも良くあります。
しかし、赤ちゃんとママの授乳サイクルができてくると、身体もそのタイミングやリズムを覚えて「無駄な母乳」を作ることをしなくなります。
まだお互いのリズムができていないときは、赤ちゃんがお腹が空いていないタイミングで胸が張れば搾乳器で母乳を搾乳して冷凍し(もしくは捨て)てということをしているママもたくさんいます。
胸が張ったままにしておくと乳腺炎になることもよくあるので、搾乳をしたりするのは致し方ない方法です。
でも、赤ちゃんとママのタイミングが合うようになると、おっぱいは無駄な母乳を作らずに「赤ちゃんが吸ったらそこから母乳の生成と提供開始」というリズムをもつようになります。
こうなると、新鮮な母乳を赤ちゃんに与えられることもあり、赤ちゃんにとっても良いことなんですよね。
しかし、ママとしては「胸が張ってない」と感じることも多く、赤ちゃんはしっかり飲めているのに、胸が張らないということは母乳が作れていないんじゃ?と悩む人が出てくるのです。
でも実際には、作れば作った分だけを赤ちゃんが飲んでいるので、母乳はしっかり作られていても「おっぱいタンク」に母乳が残っていないだけなんです。
こうした母乳の作られ方のサイクルは「差し乳(さしちち)」と言って、とっても普通のことで、むしろ胸が張っておっぱいに母乳が溜まるより良い方向性なんですよね。
でもあまり生後日数が経てば「差し乳」へと移行するからあまり心配しなくて大丈夫ですよと言われることが少ないので、胸が張らなくなった=授乳量が減った!と考えるママは多いのです。
もしあなたのおっぱいが産後3か月くらいからあまり張らなくなっても、赤ちゃんが健康に育っているなら何も心配はいりません。
こういった状況なら、あなたのおっぱいは効率の良い母乳の生成リズムを覚えたというだけなのです。
赤ちゃんの体重がきちんと増えている状況でも、胸の張りがなくて心配だな、という時は、おっぱいがスムーズに出るようになるお茶などを積極的に飲むようにすると、今まで以上に良質の母乳が作られるようになって赤ちゃんには嬉しいことでしょう。
そもそも出てないの!という人は
さてここまでは母乳が作られるという機能に関しては特に問題ないという人に向けての内容でしたが、そもそも全然母乳が出ない!という人は、もしかすると体質的な問題で母乳が出にくいのかもしれません。
人間には本当に色々な体質の人がいるので、中には母乳を生成することがそもそもしにくい体質の人もいます。
全体的な割合としては1%という非常に少ない割合にはなりますが、それでも1億2千万人の日本の人口のうち、仮にその半分の6千万人が女性だったとすると、日本には60万人も体質的に母乳が出にくい人がいるということなるのです。
人口比を考えずに単純にこの人数を47都道府県で割れば、1つの都道府県に約12700人程度、母乳が体質的に出ないという人がいることになります。
数字だけ見れば結構たくさんの人がどうやっても母乳が出ないということに悩んでいるということがあると言えるかもしれません。
そもそも母乳が出ないよ!とか助産師さんにがっつりマッサージをしてもらったのにやはり出ない!と言う人は、もともと体質的に母乳が出にくいもしくは作られにくい体なのかもしれませんから、助産師や産婦人科の医師に相談をして原因をはっきりとした方が気持ちとしては楽だと思いますよ。